マルチエージェントシミュレーション(MAS)は、計算コストが高いという課題があります。そのため、MASの入出力関係を学習させた機械学習モデルを構築し、それを用いて高速にシミュレーション結果を再現するスクリーニングアプローチがしばしば採用されています。しかし、性能の高いモデルを構築するために、どのようにMASを動かして教師データを収集すればよいのか、十分な知見がありませんでした。そのため本研究では、MASがガウス確率過程に従うと仮定し、推定の不確定性を定量化する手法を考案し、これが最大となる箇所をMASの観測点とする新たな戦略を提案しました。本戦略に基づいて得られた教師データセットを用いることで、少ないMASの観測回数で性能の高い機械学習モデルを構築できることがわかりました。これは、複雑なMASを限られた計算資源で関数近似でき、さらに、MASを用いて詳細に調べるべきシミュレーション条件を高速にスクリーニングできることを意味します。この手法は、あらゆるMASに適用可能な汎用的アプローチであり、その高い有用性が評価され、受賞に至りました。
会議名:SMASH25 Summer Symposium
(電子情報通信学会、情報処理学会、マルチエージェントと協調計算研究会、IEEE Computer Society)
受賞名:
SMASH25 優秀賞
発表タイトル:
ガウス過程回帰による推定分散最大化基準の観測戦略に基づくマルチエージェントシミュレーションの代理モデル構築手法
受賞者:
大前佑斗、柿本陽平、豊谷純